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沖縄でのカジノ開設の可能性①-全4回

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更新日:2018年5月30日

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IR(カジノを含む統合型リゾート施設)が日本にできる見込みとなっている。IR整備法(特定複合観光施設区域整備法)では、第一段階で開業するIRの個数の上限を3箇所と定めている。IR整備法が成立すれば、社会‐政治的な関心は、IR整備法の条文内容とその成否から、「日本初のIRがどこに設置されるのか」へと移ることになる。
マカオを拠点にアジアのゲーミング産業(カジノ産業)の動向を伝えるニュースサイト「AGB(アジア・ゲーミング・ブリーフ)」は、マカオやフィリピンでIRを展開するメルコリゾーツ&エンターテインメントのローレンス・ホー会長兼CEOの発言として次のように伝えた。


「先頭に立つのは間違いなく関西地区の大阪かと思われる。関東地方では東京以外の場所での横浜や空港付近、また地方都市では北海道や長崎、さらには沖縄でも候補地があがる可能性が高い。」(https://agbrief.jp/headline/ローレンス・ホー氏:日本ir収入はマカオ水準には/


第三次安倍内閣によるIR整備にまつわる一連の政策が2016年12月に始動して以降、IRの候補地として沖縄が挙がることは、つい最近まで、ほとんどなかった。しかも、ここでホー氏が沖縄を挙げたのは、全国で最高3箇所までしか設置されない第一段階の設置候補地のひとつとして、である。ただ沖縄では、2014年12月に仲井眞弘多氏から翁長雄志氏へと県知事が交代するまで、IRを整備する準備を官民の両レベルですすめられていた。また、翁長雄志県政は、知事の任期満了にともなって、県知事選挙による最初の審判を受けることになっており、政権交代が起こる可能性が本年に入ってから日々増しつつある。


本稿では、仲井眞県政におけるIR誘致の動きから翁長県知事誕生によるIR誘致の白紙撤回、そして11月の県知事選挙による政権交代の可能性を理解するために、1995年に起きた少女暴行事件から普天間基地の返還要求、辺野古への基地機能の移設計画を中心に、沖縄県の政治動向を整理し、そのうえで沖縄県におけるIR開設の可能性を探る。沖縄県には他県とは大きく異なる政治的な文脈があって、それを参照しながら現象を読み込んでいくという作業を経てからでなければ、現在を理解することも未来を占うこともできないのである。


仲井眞県政におけるIR誘致の動き

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仲井眞氏は沖縄県知事を、2006年から2014年まで2期8年間、務めた。県民が仲井眞知事に期待していたのは、通産省キャリア、そして沖縄電力の社長・会長、商工会議所連合会会長経験者としての特に経済面で秀でた行政手腕であり、地元・沖縄の権利を主張し国と安易に妥協しない強硬姿勢を示しつつも、「反対のための反対」となることを警戒し、利益をしっかりと確保するような、いわばクレバーな政治感覚であった。自民党・公明党からの支持を一貫して受けており、二期目の末期には普天間基地の移設に向けた辺野古の埋め立てを承認している。


仲井眞知事は当選後の2006年12月に「カジノ研究会」の設置を表明した。翌2007年度の県政運営より、カジノについて調査検討を行う「カジノ・エンターテイメント検討委員会」を定期的に開催し、この委員会は4年間、継続した。2008年と2010年には「沖縄統合リゾートモデル」を策定している。2010年度の報告では、①MICE誘致型+郊外リゾート型(敷地内完結型)、②MICE誘致型+周辺施設連携型(既存施設と連携)、③アミューズメント・リゾートモデル(遊びや保養に特化)+郊外リゾート型、④アミューズメント・リゾートモデル+周辺施設連携型、と4つのIRの類型モデル案を提示した(新田弘、2013年『観光戦国時代の新戦略 カッシーノ プロジェクト』新沖縄経済)。


2014年の県知事選挙で政権が交代するまで、沖縄はIR設置の最有力候補地のひとつとされていた。沖縄は日本復帰後一貫して、南国リゾート地としての整備を、特に恩納村や名護市、本部町といった本島の西海岸においてすすめており、観光開発による経済振興を志向していた。リゾートとカジノ、特にIRモデルとは親和性が高い。行政だけでなく民間でも、沖縄にカジノを誘致しようとする動きが顕在化していた。県内最大手の建築土木会社である國場組の創業家一族で沖縄コンベンションビューロー顧問、建設業協会会長などを歴任した國場幸一郎氏は2003年に「沖縄ゲーミングエンターテイメント調査会」を設立し、沖縄におけるIRの可能性を探っていた。仲井眞県政の末期には、國場組とセガサミーホールディングスとの接近が噂されるようになっていた。また、2009年より年1回、吉本興業の関連企業によって開催されている「島ぜんぶでおーきな祭 沖縄国際映画祭」は、沖縄におけるIR開業を見越したイベントであるとする見方がある(大坪稚子・松本裕樹、2014年『いよいよ解禁か!? カジノ狂騒曲 週刊ダイヤモンド 特集BOOKS』ダイヤモンド社)。

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