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2016年末における沖縄の経済動向

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となりのギャンブリング 第2回

2016年末における沖縄の経済動向

沖縄県は、2016年11月16日に発表した最新のレポート「沖縄県経済動向」で、同年7月から9月期の「景気は、拡大している」と結論づけています。景気を押し上げる要因となっているのが外国人観光客の増加です。増加率は、対前年同期比でプラス39.7%と非常に高くなっています。沖縄への入域観光客数は、2014年10月以降48カ月連続で前年同月を上回り、特に外国客の増加率が大きくなっています。

沖縄経済のもうひとつの柱である建設関連では、住宅着工の戸数・面積ともに前年を下回りましたが、非居住建築物の工事費は前年を上回りました。特に公共工事の請負保証額の対前年同期増減率では10.7%と、観光業ほどではありませんが安定した成長率を示しています。積極的な公共投資には、米軍駐留の「見返り」あるいは「補償」としての意味があります。沖縄には「基地経済」という言葉があります。以前は軍による直接雇用や軍用地からの収入を意味していましたが、経済活動に占めるその比率は年々低下しています。いまではむしろ、米軍基地が沖縄に集中することへの反発が鎮まることを期待した日本政府から沖縄県への財政的な優遇政策を意味するようになっています。

最近の沖縄における経済成長を牽引しているのがインバウンド消費であることは、まず間違いありません。それは例えば、首里城と並んで那覇市内最大の集客力を誇る観光地となっている国際通りの変化から見えてきます。この那覇中心市街地の目抜き通りを歩く通行人の多くは外国人です。土産物店の店頭に並んでいるのは、これまでにもあった菓子のチンスコウや酒の泡盛といった沖縄らしい土産物だけでなく、こけしや抹茶菓子も多く見かけます。「沖縄土産」というよりもむしろ「日本土産」が多く並ぶようになっているのです。中国語を母国語とする店員も増え、店頭では「TAX FREE」や「銀聯カード」の案内が目立ちます。

ただし、経済格差の拡がりと社会の二極化が特に先鋭化する沖縄社会では、このインバウンド消費と建設投資の増加は、ごく一部の富裕層や大きな資本力を持つ県外企業・外国企業にしか恩恵をもたらしていないようです。沖縄社会と沖縄経済の内地(本土)からの独立性は年々希薄化しています。典型的な「支店経済」へと移行しつつあり、利益の大部分が本土へと還流する構造が築かれつつあるのです。そのこともあって百貨店・スーパー・コンビニの売上高が示す個人消費は、観光業や建設業の高い伸び率と比べると、前年同期比プラス3.2%と鈍い成長となり、完全失業率は4.1%(原数値)と高止まったままで、また有効求人倍率でも1.00倍にとどまります。

対前年同月比の家計消費支出(名目)はむしろ、7月8月と2カ月連続で下落しました。また実収入(名目)は5月から8月まで4カ月連続の下落となりました。この家計消費支出と実収入は、長期的に見ると一貫して下落しています。家計消費支出や実収入が示す沖縄県民の生活は、苦しさが増し可処分所得が低下していると言えるでしょう。それでも百貨店・スーパー・コンビニの売上高が示す個人消費が継続して上昇傾向にあるということは、県民の消費が伸びないなかで、外国人観光客による消費への沖縄社会の依存度が増しつつあるということになります。インバウンド消費と建設投資による高成長の恩恵が沖縄社会全体へとトリクルダウンする(滴り落ちる)には、長い時間が必要となるでしょう。短期的にはインバウンド消費をうまく採りいれた業種や企業だけが、いまの右肩上がりのトレンドに乗ることができそうです。

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